毎日繰り返される定例会議、何種類も作成する報告書、ハンコをもらうためだけの承認フロー…。あなたの周りにも、「当たり前」のようにこなしているけれど、ふと立ち止まって考えると「これって何のためだっけ?」と思うような仕事、ありませんか?
私たちは日々、多くの業務に時間と労力を費やしています。でも、その「当たり前にこなしている仕事」、本当に会社の利益(PL)に繋がっているでしょうか?
もしかしたら、それは会社の利益を生み出すどころか、ただコスト(PL上の費用)を増やしているだけになってしまっているかもしれません…。
この記事では、そんな日々の社内業務に潜む「見えないコスト」に焦点を当てます。普段の仕事を「PL(損益計算書)」、つまりコストの視点から見直すことで、その業務の本当の必要性や効率性を判断し、賢く「ラクする」ためのヒントを探っていきましょう。
会社の数字やコストに少しでも関心のある方、そして「もっと効率的に働きたい」「無駄な仕事から解放されたい」と感じているあなたに、きっと新しい気づきがあるはずです。
なぜPL? 会社の「利益」とあなたの「業務」のつながり
会社が事業を続ける上での大きな目標の一つは、もちろん「利益を出すこと」です。そして、その利益がいくらだったのかを示すのが「PL(損益計算書)」ですよね。PLは、一定期間の会社の経営成績を表す重要なレポートです。
では、なぜ私たち個々人の日々の業務と、この会社全体のPLを結びつけて考える必要があるのでしょうか?
答えはシンプルです。会社の「すべての活動」は、最終的にPLに繋がっているからです。そして、最も重要な事実として、会社の「すべての活動」には、必ずお金、つまり「コスト」がかかっているのです。
例えば、あなたが資料を作成している時間、会議に参加している時間には「人件費」というコストが発生しています。オフィスで使う電気代や備品の購入費、ソフトウェアの利用料なども「諸経費」というコストになります。
これらのコストの多くは、PLの中の**「販管費(販売費及び一般管理費)」**と呼ばれる項目に集計されます。これは、商品の仕入れや製造に直接かかる「売上原価」とは別に、事業を運営し管理していくために日々発生する費用全般を指します。(あなたの給与も、基本的にはこの販管費から支払われています)。
つまり、一見すると売上に直接関係なさそうな社内会議や報告書作成、情報共有といった業務も、必ず販管費としてPL上の費用を発生させており、会社の利益計算に影響を与えている、ということです。
だからこそ、普段の業務をPL、特にその中の「コスト(費用)」という視点で見つめ直すことが重要になります。自分の仕事が、どれくらいのコストを生み出しているのか? そのコストに見合う価値を生み出せているのか? そう考えることが、自分の仕事の価値を理解し、より効率的で「ラク」な働き方、そして会社の利益に貢献する働き方を見つけるための第一歩となるのです。
「見えないコスト」を見える化!身近な業務をPL視点でチェック
では、具体的にどのような社内業務に「見えないコスト」が潜んでいるのでしょうか? ここでは「情報共有の非効率」、特に「あの人に聞かないと分からない」という状況を例に考えてみましょう。
「この件、〇〇さんに確認しないと進められないな…」 多くの職場で起こりがちなこの状況。一見、単なるコミュニケーションに見えますが、PL(コスト)視点で見ると、驚くほどの「見えないコスト」が発生している可能性があります。
考えてみてください。一つの「確認」のために、どれだけの時間と手間がかかっているでしょうか?
- 質問する側: 誰に聞くべきか考え、質問内容をまとめ、相手の都合を伺い、質問しに行ったりチャットを送ったり…その間の準備時間と移動・連絡時間。回答を待つ間の手待ち時間。
- 回答する側: 質問を受けて作業を中断し、質問内容を理解し、必要な情報を探し、考え、回答を作成し、伝える…その作業中断コストと回答作成時間。
- 双方・組織全体: 質問と回答の往復にかかるコミュニケーション時間。もし情報伝達にミスがあれば、手戻りや修正にかかる時間とコスト。情報が滞ることで業務全体が遅延するコスト。その人にしか分からないことで、他の人がスキルアップする機会を失うコスト(機会損失)。
「言う」「聞く」「書く」「読ませる」「理解する」「回答する」…これら一つ一つのプロセスに、貴重な時間(=人件費)が費やされています。これが毎日、多くの従業員の間で繰り返されているとしたら、会社全体でどれほどのコストになっているでしょうか?
この「情報共有の非効率」以外にも、あなたの周りにはPL視点で見直すべき業務がたくさん隠れているはずです。定例会議、報告書、承認プロセス…ぜひ一度、ご自身の業務を「コスト」の視点で見える化してみてください。
その業務、本当に必要?「費用対効果」でジャッジする4つの問い
業務にどれくらいのコストがかかっているかが見えてきたら、次はその業務が「本当に必要なのか?」を判断するステップです。ここでは、その判断に役立つ4つの問いかけ(視点)をご紹介します。
- 視点1:PLへの貢献度は? その業務は、最終的に会社のPL(損益)に対して、どのような貢献をしていますか? 売上アップに繋がっていますか? コスト削減に貢献していますか? あるいは、法令遵守や重大なリスク回避のために絶対に不可欠な業務でしょうか? まずはこの業務の「目的」と「PLへの貢献」を明確にしましょう。
- 視点2:費用対効果は? その業務にかかっているコスト(見える化した時間・人件費など)と、それによって得られる価値(PLへの貢献度、目的達成度)は見合っていますか? コストをかけている割に効果が薄い、と感じる業務はありませんか?
- 視点3:代替手段・効率化は? 同じ目的を、もっと少ないコスト(時間・手間)で達成できる方法はありませんか? もっと効率的なプロセスはないでしょうか? ITツールを活用したり、業務のやり方を変えたりすることで、コストを削減できないか考えてみましょう。
- 視点4:やめたらどうなる? もし、思い切ってその業務をやめたとしたら、具体的にどのような問題が発生するでしょうか? 本当に業務が回らなくなりますか? それとも、実は誰も困らず、形骸化していただけの可能性はありませんか? この問いは、業務の本質的な必要性を見極める上で非常に重要です。
これらの問いを通じて、日々の業務を客観的に評価し、改善の糸口を見つけていきましょう。
PL視点を日々の「ラクする改善」に活かすヒント
PL視点で業務を見直し、改善点が見えてきたら、次はいよいよ行動に移す番です。とはいえ、いきなり大きな改革は難しいもの。ここでは、明日からでも始められる「改善へのヒント」を2つご紹介します。
- まずは「自分の業務コスト」を意識し続ける 今日から、ご自身の業務時間とその内容を少しだけ意識的に記録してみませんか?「この作業に〇分かかった」「この会議は〇時間だった」と把握するだけでも、「思ったより時間がかかっているな」「この時間はもっと有効に使えないか?」といった気づきが生まれます。これがコスト意識の第一歩であり、改善のスタートラインです。
- 「会社の成長=作業量増加」の比例関係を疑う 会社が成長し、売上が増えると、それに伴って業務量が増えるのは当然…と思っていませんか? しかし、本当にそうでしょうか? 売上が2倍になったからといって、報告書の作成時間や会議の時間が単純に2倍必要になるわけではないはずです。 「会社の成長に合わせて、この作業も本当に同じように増やす必要があるのか?」「もっと効率化・仕組み化して、非線形な成長(売上は増えてもコスト増は緩やか)を実現できないか?」この視点を持つことが、抜本的な業務改善や「ラクする」ための鍵になります。単純作業は自動化できないか? その報告書、本当にその頻度で必要か? 常に問い続けてみましょう。
まとめ:PL視点で仕事を見直せば、会社も自分もハッピーに?
今回は、「その業務、本当に必要?」という問いかけから、日々の社内業務をPL(損益計算書)、特にコストの視点で見直すことの重要性とそのヒントについてお話ししてきました。
「自分の仕事が会社の利益にどう繋がっているんだろう?」「この当たり前の作業、実はコストになってるだけじゃない?」 そんな風にPL視点で業務を捉え直すことは、単に会社の数字に詳しくなるだけではありません。
それは、日々の業務に潜む「無駄」を発見し、改善していくための強力な武器を手に入れることです。
業務が改善され、効率化が進めば、どうなるでしょうか?
まず、あなた自身が楽になります。「自分がいないと仕事が回らない…」といった属人化から解放され、「休んだら迷惑がかかるかも…」という精神的なストレスから解放されます。有給休暇を心置きなく使えたり、休みの日を本当にリラックスして過ごせたりするようになるかもしれません。まさに**「ラクして休める」**状態に近づけるのです。
そして、それは会社にとっても大きなメリットがあります。業務が効率化されれば、会社が成長して売上が増加したときに、販管費(人件費や諸経費)の増加を抑えることができます。つまり、売上に対する販管費の比率が下がり、会社の収益性は向上します。これは、会社の持続的な成長にとって非常に重要なことです。
このように、PL視点を持ち、日々の業務改善に取り組むことは、「長く安定して働きたい」と願う私たち働く側にとっても、「事業を成長させたい」と考える会社側にとっても、双方にとってありがたい、まさにWin-Winの関係を築くことに繋がります。
難しく考える必要はありません。まずは「自分の業務コストを意識してみる」「会社の成長と作業量の比例関係を疑ってみる」ことから。日々の「ちょっとした改善」への意識が、やがて大きな変化を生み出し、あなた自身と会社の未来を、より良い方向へと導いてくれるはずです。
さあ、今日からPL視点を持って、賢く「ラクする」働き方への第一歩を踏出してみませんか?


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