「新しいシステムを入れたいのに、経理が『リスクがある』『前例がない』と首を縦に振らない」 「会社を成長させたいのに、経理部がブレーキをかけている気がする…」
攻めの経営をしたい社長にとって、慎重な経理担当者の態度は「抵抗勢力」のように見えるかもしれません。しかし、専門家は**「その対立の原因は、実は経営者側の“頼み方”と“評価”にある」**と指摘します。
彼らは変化が嫌いなわけではありません。なぜ彼らは頑なに拒否するのか?そして、どうすれば彼らの能力を「会社の成長」のためにフル活用できるのか? そのメカニズムと、信頼を築くための具体的なマネジメント術を解説します。
Part 1:彼らは「変化」が嫌いなわけではない
まず、「経理は保守的で、新しいことが嫌いだ」という思い込みを捨てましょう。 実際には、簿記や税理士資格などの勉強に励む、向上心が高く、自身のスキルアップに貪欲な人材が多いのです。
では、なぜ彼らは社長の提案に反対するのでしょうか? それは、彼らが「決算書」という最終成果物から逆算して物事を考えているからです。経営者が「とりあえずやってみよう」と投げた案件が、会計処理の段階でどれほどの混乱とリスクを生むか、彼らには見えています。
彼らがNOと言うのは、意地悪ではありません。プロとして**「見通しの立たない業務フロー(事故の元)」**を安易に受け入れるわけにはいかないという、責任感の表れなのです。
Part 2:評価の変革:「面倒な作業」ではなく「価値あるミッション」として任せる
これまでの経理とのコミュニケーションを振り返ってみてください。 「これ、やっておいて」と、**“評価されない面倒な作業”**として新しい仕事を投げつけていませんでしたか?
経理担当者は敏感です。「経営者はこの仕事の難易度を理解していない」「どうせ苦労して対応しても、評価してくれない」と感じれば、防衛本能として仕事を拒否します。
彼らを動かす鍵は、**「社内評価の定義」**を変えることです。
- NGな態度: 「事務作業なんだから、ついでにやってよ」
- OKな態度: 「これは会社の成長に関わる難易度と価値の高い業務だ。だからこそ、信頼できる君に任せたい」
「今回のシステム導入は、今後の会社の基盤を作る重要なプロジェクトだ。難しい舵取りになるが、君の専門知識でリードしてほしい。もちろん、その成果は社として高く評価する」
このように、その業務が「雑用」ではなく、**「信頼された人間にしか任せられない重要なミッション」**であることを伝え、それを正当に評価する姿勢を見せること。それが、彼らのプロ意識に火をつけます。
Part 3:巻き込み方の作法:「決定後」ではなく「選定中」に聞け
そしてもう一つ、経理を「抵抗勢力」にしないための鉄則があります。それは、相談のタイミングです。
最悪なのは、システムや新規事業が決まった後に「事後報告」することです。これは経理にとって、時限爆弾を処理させられるのと同じです。
信頼を示すなら、**「選定中(構想段階)」**に相談してください。
「今度、新しい決済システムの導入を考えているんだけど、経理の実務から見て、API連携やデータ取り込みで懸念点はあるかな? 君の意見を聞かせてほしい」
早い段階で専門家としての意見を求めることで、彼らは「尊重されている」と感じます。すると、彼らは「反対する人」から、「リスクを未然に防ぎ、最適なフローを構築する協力者」へと変わります。
まとめ
経理担当者は、会社のブレーキではありません。 経営者が、彼らの業務の「価値」と「難易度」を正しく理解し、信頼して任せること。そして、早い段階でパートナーとして頼ること。
その「リスペクト」があれば、彼らはその専門知識を駆使して、会社が安全かつ最速で成長するための「最強のナビゲーター」になってくれるはずです。


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