「経営陣からは『もっと早く数字を出せないのか』と催促され、現場のメンバーは疲弊している…」 「毎月の締め作業が、いつも営業日の10日を過ぎてしまう…」
会社の成長は喜ばしい一方で、それに伴う「月次決算の遅延」という深刻な問題に頭を悩ませていませんか?
この記事は、そんな板挟みに悩む経理マネージャーのあなたのためにあります。高価なツールを導入する前に、まず自分たちの足でできる、最もインパクトの大きい「最初の改善ステップ」を、専門家との対話形式で解き明かしていきます。
Part 1:その決算遅延、本当の原因は「Excelへの慣れ」にあり
まず認識すべきは、決算が遅いのは、現場のスタッフが怠慢だからでも、能力が低いからでもない、ということです。
本当の原因は、会社が小さかった頃は機能していた**「Excelやスプレッドシートによる手作業での集計プロセス」を、規模が拡大した今も続けてしまっている**ことにあります。イレギュラーな取引が増えるたびに、場当たり的な修正を繰り返した秘伝のタレのようなExcelファイルは、もはや特定の担当者しか使えない「属人化の塊」と化しています。
この状態では、出てくる数字の正確性にすら疑問符がつき、経営に資するどころか、むしろリスクの温床となってしまいます。
Part 2:まずやるべきは「今ある会計システム」のポテンシャルを100%引き出すこと
「どこから手をつければ…」と途方に暮れる中で、専門家が示す最初のステップは、意外にも身近なところにあります。それは、現在使っている会計システム(MFクラウド会計など)の機能を最大限に活用することです。
特に見直すべきは**「同期機能」**です。
多くの企業では、銀行データなどを一度Excelにダウンロードし、手作業で加工した後にCSVでインポートしています。担当者によっては「一件ずつ確認が必要な同期機能より、使い慣れたExcelの方が早い」と感じるためです。
しかし、これは大きな間違い。手作業での科目選択は、担当者の癖やその日の集中力によってバラつき、月ごとの数字の比較可能性を損ないます。
システムに定型的な取引の仕訳を学習させ、同期機能で自動化すること。これこそが、属人化と非効率から脱却する、最も確実な第一歩なのです。
Part 3:抵抗する部下を動かす「伝え方のハック」
しかし、新しいやり方を導入しようとすると、現場から「今のやり方の方が早い」という抵抗にあうことも少なくありません。そんな時、マネージャーであるあなたがどう伝えるかが鍵を握ります。
頭ごなしに「やれ」と命令するのではなく、**「スタッフ自身のメリット」と「会社としてのメリット」**の両面から、丁寧に説明しましょう。
- スタッフへのメリットを伝える言葉
- 「同期機能を活用すれば、月初に業務が集中せず、日々の業務負荷が平準化できる。結果的に、残業を減らして有給も取りやすくなるはずだ。」
- 「Excelでの手作業は、残念ながらこの会社でしか通用しないスキルだ。でも、最新の会計システムの機能を使いこなす経験は、君自身の市場価値を高め、今後のキャリアにとって必ずプラスになる。」
- 会社へのメリットを伝える言葉
- 「手作業だと、人によって使う科目に微妙なブレが出てしまう。同期で仕訳を標準化すれば、月次決算の数字の比較可能性が高まり、私たちの仕事がより経営に役立つものになる。」
このように伝えることで、部下は「命令された」と感じるのではなく、「会社の一員として頼りにされている」と感じ、前向きな変化を受け入れやすくなります。
まとめ:専門家からの最後のメッセージ
最後に、この記事を読んでくださっているマネージャーのあなたへ。
働いている従業員に、会社に損害を与えたい、足を引っ張りたいと思うような人はいません。できれば自分の仕事が会社の役に立っていると感じ、評価や感謝をされたいと思うものです。
一方で、権限のないスタッフや経営層ではない管理職は、「自分の責任じゃない」として積極的な改善をためらったり、残業続きで出世もないといった状況でモチベーションが低下したりすることもあるでしょう。
そんな時、「働きやすくなる」「会社のためになる」という多角的な視点で変化のメリットを伝えることは、彼らに「頭ごなしに命令されている」と感じさせるのではなく、「会社の一員として頼りにされている」と感じてもらうための、重要なコミュニケーションです。
管理職としてうまくチームが回るよう、ご自身も無理せず、現在の環境で優先順位をつけながら、ベストな選択をしていってください。


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