IPO準備、経理の監査対応が限界…今すぐ使えるGemini活用術と経営陣を動かす「奥の手」

A person and a dog interacting beside a wall. ツール・アプリ活用

「IPO準備が本格化してから、監査法人からの要求が厳しくて、チームが疲弊しきっている…」

「請求書と証憑の突合、過去の契約書探し…アナログな作業に忙殺されて、本来やるべき業務改善に全く手が付けられない」

「AIが便利だとは聞くけど、正直、新しいツールを調べて導入する時間も気力もない…」

もしあなたが、このような悩みを抱えるIPO準備企業の経理担当者なら、この記事はきっと役に立つはずです。

これは、人手も時間もない八方塞がりの状況から抜け出すための、具体的な「処方箋」。即効性のあるテクノロジー活用術と、会社を根本から動かすためのコミュニケーション戦略を、専門家との対話形式でご紹介します。

なぜ、あなたのチームは疲弊しているのか?

まず、厳しい現実からお伝えしなくてはなりません。

監査対応でチームが疲弊しきっている根本原因は、日々の「その場しのぎ」の積み重ねにあります。急な依頼に無理やり対応してきた結果、書類の整理は後回しになり、過去の証憑を探し出すのに膨大な時間がかかる。「二度手間」「三度手間」が常態化し、チーム全体の生産性を蝕んでいるのです。

しかし、これは決してあなたの責任ではありません。むしろ、限られたリソースの中で、これまで会社を支えてきた証拠でもあります。

問題は、この「負のスパイラル」からどう抜け出すかです。

【緊急避難】Googleユーザーなら今すぐ試せる「Gemini」活用術

新しいツールを比較検討する時間がない。そんなあなたに最適なのが、多くの企業で既に導入されているGoogle Workspaceの延長線上で使えるAI**「Gemini」**です。

なぜ「Gemini」なのか?

最大の理由は、導入ハードルの低さです。多くの社員が使い慣れたGoogleのインターフェースで、すぐに高度なAI機能を試すことができます。

具体的な使い方①:証憑の突合作業

毎月うんざりする量の請求書と領収書の突合。これをGeminiに手伝ってもらいましょう。

  1. 請求書と、対応する領収書のスクリーンショットを撮ります。
  2. Geminiのチャット画面に2つの画像をアップロードし、こう指示します。

プロンプト例:

「添付した2つの画像は、請求書と領収書です。発行元、金額、日付が一致しているか確認してください。」

これだけで、AIが面倒な目視チェックを代行してくれます。

具体的な使い方②:契約書の要点チェック

「あの契約書の支払い条件、どうなってたっけ…?」そんな時も、分厚いファイルをめくる必要はありません。

  1. 契約書のPDFをGoogle Driveに保存します。
  2. Geminiにこう指示します。

プロンプト例:

「添付した契約書(PDF)を読み込んで、以下の点を要約してください。

・契約期間

・支払い条件(金額、支払期日)

・解約に関する条項」

セキュリティは大丈夫?

契約書などの機密情報をAIにアップするのは不安ですよね。Geminiでは、「アクティビティ設定」で、入力した情報をGoogleのモデル改善に使用しないように設定可能です。とはいえ、会社の重要情報を扱う際は、必ず事前に法務部やIT担当者に社内ルールを確認しましょう。

【根本解決】経理だけでは会社は動かない。経営陣を本気にさせる「伝え方」

AIで目先の業務を効率化しても、根本的な人手不足が解決しなければ、いずれ限界が来ます。経営陣を動かし、人員拡充や外部コンサルの活用といった「投資」を勝ち取らなくてはなりません。

しかし、バックオフィスの実態に疎い経営陣に、ただ「大変なんです!」と感情的に訴えても、「もう少し頑張ってくれ」で終わってしまうのが関の山です。

ではどうするか? 答えは、IPOの成否に直結する「第三者の声」を借りることです。

その第三者とは、主幹事証券会社監査法人にほかなりません。

彼らは、あなたの会社のIPOプロジェクトにおける、いわば「共同責任者」。彼らから見た「管理体制の脆弱性」は、経営陣にとって「現場の愚痴」ではなく、無視できない「事業リスク」として響きます。

次回の監査法人との打ち合わせの際に、勇気を出してこう相談してみてください。

相談の切り出し方例:

「いつもお世話になっております。現在、監査対応にチーム全員で当たっておりますが、正直なところ、現状のリソースでは正確性を担保するのが限界に近づいています。先生方の視点から見て、弊社の現在の管理体制にIPO審査上のリスクを感じる点などはございますでしょうか?もしあれば、そのご意見をぜひ経営陣にも直接お伝えいただけますと幸いです。」

こうして外部の専門家の口から伝えてもらうことで、経営陣は初めて問題の深刻さを自分事として捉え、具体的なアクションを検討し始めます。

専門家からの最後のメッセージ

この記事を読んでくださっているあなたへ。

改善や考える時間がないほどに忙しくなってしまったのは、あなたの責任ではありません。むしろ、ここまで会社のために頑張っているあなたは、会社にとって大変ありがたい存在です。

ただ、このまま仕事がさらに増えて心身が壊れ、会社を辞めなければならない状況に追い込まれてしまうと、あなたにとっても会社にとっても本末転倒です。

この段階で「対策を打たないといけない」という意識を持ち、「周りに頼らないといけない」と認識できていること自体が、本当に素晴らしいことです。

今がいちばん苦しい時期だと思いますが、どうか一人で抱え込まず、この記事で紹介したような外部の力も借りながら、なんとかこの状況を打破してください。心から応援しています。

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