経費精算システムの導入相談を受けるとき、私が最初に確認するのは「システムを入れる前に、経費精算のルールそのものが整理されているか」という点です。ルールが曖昧なままシステムだけ入れても、結局現場は混乱します。この記事では、システム比較の前に見直しておきたいポイントを中心に書きます。
システム導入前に整理すべき「経費精算のルール」
次の3つが曖昧なまま経費精算システムを導入すると、かえって現場の負担が増えることがあります。
- 領収書の要件(何が経費として認められ、何が認められないか)
- 申請から承認までの経路(誰が一次承認し、誰が最終承認するか)
- 締め日・支払日のスケジュール
これらが社内で明文化されていないと、システムを入れても「この経費は経費計上していいんですか」という個別の問い合わせが結局経理担当者に集中してしまい、業務は思ったほど楽になりません。まずはシンプルな経費規程を整備し、それをシステムのワークフローに落とし込む、という順番が大切です。
経費精算システムで削減できる工数の実態
経費精算システムの主なメリットは、次のような手作業を減らせる点にあります。
- 手書き・Excelの精算書を紙で回覧する手間
- 領収書の原本管理・ファイリングの手間(電子帳簿保存法の要件を満たしたスキャナ保存機能があれば、原本を破棄できる)
- 交通系ICカードやクレジットカードの利用明細を手入力する手間(自動取込機能)
特に効果を実感しやすいのは、交通費や経費のクレジットカード利用明細の自動取込です。手入力の手間がなくなるだけでなく、入力ミスによる差し戻しも減るため、申請者・承認者双方の負担が下がります。
導入してもあまり効果が出ないケース
一方で、次のような会社では、システムを入れても期待したほどの効果が出ないことがあります。
- 経費精算の件数自体が少なく、もともとの業務負担が小さい
- 承認経路が複雑で、システムのワークフロー機能だけでは対応しきれない特殊なルールがある
- 現金精算が中心で、キャッシュレス化が進んでいない
特に3つ目は見落とされがちです。経費精算システムの多くは、クレジットカードや交通系ICカードとの連携によって効果を最大化する設計になっています。現金でのやり取りが中心の職場では、結局レシートを撮影して手入力する作業が残るため、効果が限定的になることがあります。
会計士としておすすめする導入の順番
- 経費規程を明文化する(何が経費か、承認経路、締め日)
- コーポレートカードなど、キャッシュレス化できる部分を先に整える
- そのうえで、自社の承認経路に対応できる経費精算システムを選ぶ
この順番を逆にして「とりあえずシステムを入れてから運用ルールを考える」進め方をすると、システムの機能に業務を無理やり合わせることになり、結局定着しないケースをよく見てきました。
まとめ
経費精算システムの導入効果を最大化するには、システム選定より先に、経費規程の整備とキャッシュレス化の準備を進めることが近道です。順番を意識して進めることをおすすめします。


コメント