中小企業のDX、うまくいかない会社にはパターンがある【会計士が見てきた失敗と処方箋】

仕事の仕組み化
Picsum ID: 1081

「DXを進めなければ」という危機感を持つ経営者は、この数年でかなり増えました。実際、顧問先からもツール導入やシステム刷新の相談が増えています。ただ、正直に言うと、うまくいく会社とそうでない会社には、はっきりしたパターンがあります。この記事では、会計士としてバックオフィスのDX支援に関わってきた中で見てきた「よくある失敗」を先に紹介し、そこから逆算した進め方を提案します。

よくある失敗パターン3つ

失敗1:目的より先に「ツール」を決めてしまう

展示会や営業から話を聞いて、「このツールを入れれば効率化できそうだ」という理由でツールを先に決めてしまうケースです。導入後に「そもそも自社のどの業務を効率化したかったのか」が曖昧なまま使い始めるため、現場が使いこなせずに形骸化してしまいます。

失敗2:経営者が旗を振るだけで、実務設計を現場任せにする

「DXをやるぞ」という号令はかかるのに、実際の業務フローの再設計やマニュアル作成は現場の担当者に丸投げされることがあります。現場の担当者は日常業務で手一杯なので、片手間で作られた運用ルールは長続きしません。

失敗3:紙・Excel運用と新システムが並存してしまう

新しいシステムを導入したものの、「念のため」と旧来のExcel台帳や紙の帳票も並行して残してしまい、結果的に二重入力・二重管理で以前より手間が増えてしまうケースです。これは経理・労務まわりの相談で特によく見かけます。

うまくいっている会社に共通していること

逆に、DXがうまく定着している会社を見ると、共通点は技術力の高さではなく「進め方」にあります。

  • 最初から全社展開せず、1つの部署・1つの業務に絞って試す
  • 「導入して終わり」ではなく、3ヶ月後に効果を数字で振り返る場を決めている
  • 旧運用をいつまでに廃止するか、あらかじめ期限を決めている

特に重要だと感じるのが最後の「旧運用の廃止期限を決める」ことです。新旧並存の状態を「いつか整理しよう」と先延ばしにすると、そのままずるずる二重運用が続いてしまいます。

会計・バックオフィス領域でのDXは、特に費用対効果を見える化しやすい

経理・労務・請求書まわりの業務は、他部署に比べて「何にどれだけ時間がかかっているか」を数字にしやすい領域です。たとえば月次の記帳作業に何時間かかっているか、請求書発行から入金確認までに何日かかっているかは、比較的簡単に測定できます。DXの効果を経営層に説明しやすいという意味でも、バックオフィス業務は着手しやすいテーマだと考えています。

まとめ:小さく始めて、期限を決めて、数字で振り返る

DX推進というと大がかりな話に聞こえますが、実務でうまくいっているのは、地味な進め方をしている会社です。ツールを決める前に目的を言葉にする、対象業務を絞る、旧運用の廃止期限を決める、3ヶ月後に数字で振り返る。この4つのステップを踏むだけで、失敗の確率はかなり下げられるというのが実感です。

📊 バックオフィス「成長乖離」セルフチェック

貴社のバックオフィス体制が、事業の成長スピードに追いついているか、3つの質問で簡易診断します。

以下の項目について、「頻繁にある(3点)」「たまにある(1点)」「全くない(0点)」で点数をつけ、合計してください。


Q1. 【情報連携】請求書や支払データ作成時に、経理担当者が他部署へ電話やチャットで内容を確認する作業が発生している。

Q2. 【属人化】銀行のネットバンキングや税理士連携用パスワードの管理が、担当者一人のPC内のみで行われており、社長や管理職が把握できていない。

Q3. 【時間ロス】営業担当や事業部長が、本来の営業活動以外の事務作業(発注書作成、契約書チェックなど)に、毎日3時間以上費やしている。


▼ 診断結果

【0〜2点の方:順調な成長フェーズです】現状、大きな問題は見当たりません。今の運用を維持しつつ、引き続き日々の改善を積み重ねながら、事業拡大を進めていってください。

【3点以上の方:成長スピードとのズレが発生中】貴社の仕組みは、事業拡大のスピードに追い付いていない可能性があります。まずは、現場(特に経理部門)にヒアリングを行い、有休消化率や残業状況を確認してください。

💡 さらに詳しい分析と対策が必要な方へ「具体的にどこがボトルネックなのか?」「何から改善すれば良いのか?」お問い合わせからご相談可能です。

仕事の仕組み化業務改善
シクミをフォローする

コメント

タイトルとURLをコピーしました