経理の海外キャリア、英語力はどれくらい必要?勉強法とリアルな実務を解説!

woman wearing blue denim jacket holding book 資格・学習
  1. 経理・財務のグローバル化は「待ったなし」の時代へ
  2. 1. なぜ今、経理担当者に英語力が求められるのか?グローバル化の実情
    1. 国内企業の海外拠点数は右肩上がり
    2. 経理部門が英語を必要とする4つの場面
    3. 英語×経理スキルは「希少人材」の証明
  3. 2. 経理の海外業務で「実際に」使う英語力とは?シーン別レベルガイド
    1. 業務別・英語レベルの目安一覧
    2. 読む力(Reading):英文資料を「怖がらない」ことが第一歩
    3. 書く力(Writing):定型文の「型」を覚えれば9割は対応できる
    4. 話す・聞く力(Speaking & Listening):「完璧な英会話」は不要
  4. 3. 経理担当者が覚えるべき「会計英語」必須用語リスト
    1. 財務諸表関連の基本用語
    2. 勘定科目の基本用語
    3. 業務プロセスで頻出の用語
  5. 4. 「英語が苦手」を克服する!経理担当者のための実践的英語勉強法ステップガイド
    1. ステップ1:英語への「抵抗感」をゼロにする(1〜2週間)
    2. ステップ2:中学英語の文法を「使える形」に整理する(2〜4週間)
    3. ステップ3:会計英単語を「仕事で使いながら」覚える(並行して継続)
    4. ステップ4:フィリピン人講師のオンライン英会話で「アウトプット」習慣を作る(週3〜5回)
    5. ステップ5:TOEICスコアを「外部指標」として活用する
  6. 5. 英語力×経理スキルで広がるキャリアパス:3つの方向性
    1. 方向性①:国内の外資系企業・グローバル企業の経理職
    2. 方向性②:海外子会社管理・国際経理担当(国内本社勤務)
    3. 方向性③:海外駐在・現地法人CFO・財務責任者
    4. 英語力×会計資格の組み合わせが最強
  7. 6. 経理担当者が英語を使う際の「現場のリアル」と注意点
    1. 現地の税務・会計基準は「日本と大きく異なる」ことを前提に
    2. 時差とコミュニケーションのタイミングを設計する
    3. 翻訳ツール・AIの活用は「実務スキル」として積極的に取り入れる
    4. 文化的な背景の違いを意識したコミュニケーション
  8. 7. 中小企業のバックオフィス担当者・マネージャーへのアドバイス:「まず動く」ことの重要性
    1. 中小企業の経理担当者・マネージャーに今すぐできる3つのアクション
  9. まとめ:経理の英語力は「完璧」より「実用」を目指せ

経理・財務のグローバル化は「待ったなし」の時代へ

「英語ができたら、経理としてのキャリアがもっと広がるのに…」「海外子会社の担当者とのメールのやり取り、英語で大丈夫か不安で仕方ない…」

経理・財務のプロフェッショナルとしてキャリアを積んできた方なら、一度はこうした思いを抱いたことがあるのではないでしょうか。グローバル化が加速する現代において、英語力は経理担当者にとっても無視できないビジネススキルになりつつあります。

しかし、「実際、どれくらいの英語力が必要なの?」「英語ができなくても経理はできる?」「具体的にどう勉強すればいいの?」といった疑問を持ちながら、なかなか動き出せずにいる方が多いのも事実です。

この記事では、経理・財務の海外関連業務で実際に求められる英語力の「リアルな水準」を整理し、今日から始められる実践的な勉強法、さらに英語力を活かして広がるキャリアの可能性まで、具体的な数値・事例・比較表を交えてわかりやすく解説します。

英語への漠然とした不安が払拭され、「自分にもできる!」と行動に移せるきっかけになれば幸いです。

1. なぜ今、経理担当者に英語力が求められるのか?グローバル化の実情

「経理の仕事に英語は関係ない」という時代は、確実に終わりを迎えています。日本企業の海外展開、外資系企業の日本進出、越境ECの拡大——こうした動きが経理・財務部門にも直接影響を与えています。

国内企業の海外拠点数は右肩上がり

経済産業省の「海外事業活動基本調査」によれば、日本企業が保有する海外現地法人数はここ10年で増加傾向にあり、製造業のみならず、サービス業・小売業・IT企業においても海外進出が一般化しています。海外子会社を持つ中小企業も珍しくなく、「英語は大企業だけの話」とは言えない環境になっています。

経理部門が英語を必要とする4つの場面

  • 海外子会社との連携業務:月次の試算表確認や業績ヒアリング、会計処理の指示・修正依頼など、英語でのメール・チャットが日常的に発生します。
  • 国際的な仕入れ・販売取引:英文の請求書(Invoice)、発注書(Purchase Order)、契約書(Contract)を処理する機会が増加しています。外貨建て取引の会計処理も必要です。
  • 外資系企業での本社レポーティング:親会社(本国)への月次・四半期報告は英語が基本。IFRS(国際財務報告基準)に基づいた英文財務諸表の作成を求められる場面もあります。
  • 海外投資家・金融機関への対応:上場企業や資金調達を目指すスタートアップでは、英文の決算説明資料(Earnings Release)や有価証券報告書の英語版作成が求められるケースも増えています。

英語×経理スキルは「希少人材」の証明

求人情報サービスの調査によれば、経理・財務職の求人において「英語力必須・歓迎」と明記されたポジションの平均年収は、英語不問のポジションと比較して年収ベースで100万〜200万円程度高い傾向があります。英語力を持つ経理人材の希少性は、そのまま市場価値の高さに直結しています。

つまり、英語力を経理スキルに加えることは、「転職・昇進・年収アップ」という3つのキャリアゴールすべてに貢献する投資になり得るのです。

2. 経理の海外業務で「実際に」使う英語力とは?シーン別レベルガイド

「やっぱりTOEIC900点以上、ネイティブレベルじゃないとダメなんでしょ?」——そんな心配は不要です。経理実務で使う英語は、思っているよりもずっとシンプルで、専門的な会計知識さえ土台にあれば、英語力そのものは中級レベルで十分対応できる場面が大半です。

業務別・英語レベルの目安一覧

業務内容必要な英語スキル目安TOEICスコア使用頻度
海外子会社へのメール連絡(数値確認・差異確認)読み・書き(基本レベル)500〜650点高い
英文請求書・発注書の確認・処理読み(会計用語中心)500〜600点高い
英文契約書の内容確認(基本条項)読み(法務英語の基礎)650〜750点中程度
オンライン会議での業績説明・質疑応答話す・聞く(ビジネス会話)650〜750点中程度
英文月次レポート・経営報告書の作成書き(ビジネスライティング)700〜800点中程度
IFRSベースの英文財務諸表作成・監査対応読み・書き(高度な専門知識)800点以上低〜中
海外投資家向けIR対応・決算説明総合(プレゼン含む)800点以上低い

ご覧の通り、日常的な経理実務の英語対応は、TOEIC 500〜650点程度を目標に据えれば、多くの業務でなんとかなるというのが現実です。もちろんポジションや企業規模によって求められる水準は変わりますが、「まず英語ゼロの状態から脱却する」ことが最初のゴールで十分です。

読む力(Reading):英文資料を「怖がらない」ことが第一歩

海外子会社からの月次試算表、本社からの指示メール、会計システムの英語マニュアル——これらが主な「読む」対象です。会計用語さえ覚えてしまえば、文章の構造は意外とシンプルです。翻訳ツール(DeepLなど)やAI(ChatGPTなど)を補助的に活用することも、今や一般的な実務スキルの一つです。

重要なのは「完全に自力で理解しなければならない」という固定観念を捨てること。正確に内容を理解してアクションにつなげることが目的であり、ツールの活用は「英語力の代替」ではなく「業務効率化のツール」と捉えましょう。

書く力(Writing):定型文の「型」を覚えれば9割は対応できる

経理のメールや報告書の英語ライティングは、決まったパターンの繰り返しであることが多いです。たとえば以下のような「型」を押さえるだけで、日常的な英文メールは対応できます。

  • 問い合わせ:“Could you please confirm the balance of [account name] as of 2026/06/03?”
  • 差異の説明依頼:“We noticed a discrepancy in [item]. Could you please provide an explanation?”
  • 締め切りリマインド:“As a reminder, the monthly closing report is due by 2026/06/03.”
  • 修正依頼:“Please revise the figure for [account] from [amount A] to [amount B].”

これらのテンプレートを10〜20パターン用意しておくだけで、日常的な英文コミュニケーションの80%以上は乗り越えられます。

話す・聞く力(Speaking & Listening):「完璧な英会話」は不要

経理業務においてリアルタイムの英会話が必要な場面は、テキスト(メール・チャット)でのやり取りに比べると頻度は低めです。ただし、海外子会社担当者とのオンライン定例会議などでは会話力が求められる場面もあります。

ここで重要な事実があります。海外の経理担当者も、必ずしもネイティブスピーカーではありません。アジア圏(インド、フィリピン、タイ、ベトナムなど)や東欧など、非ネイティブ同士で英語を共通言語として使うケースが非常に多いのです。そのため、難しい慣用表現や複雑な文法を使う必要はなく、中学英語レベルのシンプルな文で、正確な数値・事実を明確に伝える能力の方がずっと重要です。

また、会議中にスプレッドシートや資料を画面共有しながら「この行の数字を確認したい」「この差異の原因を教えてほしい」と具体的に指を指しながら話せば、言葉だけに頼らないコミュニケーションが成立します。言語だけに頼らない工夫も、立派な実務スキルです。

3. 経理担当者が覚えるべき「会計英語」必須用語リスト

英語力の土台として、まず経理・財務の専門用語を英語で押さえておくことが最優先です。日本語で意味を理解している用語を英語に置き換えるだけなので、一般的な英語学習よりもはるかに習得が早いのが特徴です。

財務諸表関連の基本用語

日本語英語略称・備考
損益計算書Income Statement / Profit and Loss StatementP/L
貸借対照表Balance SheetB/S
キャッシュフロー計算書Cash Flow StatementC/F
売上高Revenue / Net Sales
売上原価Cost of Goods SoldCOGS
売上総利益Gross Profit
営業利益Operating Income / Operating ProfitEBIT(参考)
当期純利益Net Income / Net Profit
減価償却費Depreciation
償却費(無形資産)Amortization

勘定科目の基本用語

日本語英語
売掛金Accounts Receivable
買掛金Accounts Payable
現金及び預金Cash and Cash Equivalents
棚卸資産Inventory
固定資産Fixed Assets / Property, Plant and Equipment (PP&E)
のれんGoodwill
長期借入金Long-term Loans Payable
資本金Share Capital / Common Stock
利益剰余金Retained Earnings
未払費用Accrued Expenses

業務プロセスで頻出の用語

日本語英語
月次決算Monthly Closing
連結決算Consolidated Financial Statements
予算Budget
予実差異Budget vs. Actual Variance
試算表Trial Balance
仕訳Journal Entry
照合・突合Reconciliation
監査Audit
内部統制Internal Controls
税務申告Tax Filing / Tax Return

これら約50〜70語の専門用語を英語で確実に覚えることが、経理英語の最初の「核」になります。日本語で意味を知っているワードを英語に置き換えるだけなので、一般的な英単語学習より格段に効率よく習得できます。

4. 「英語が苦手」を克服する!経理担当者のための実践的英語勉強法ステップガイド

「そうは言っても、学生時代から英語が苦手で…」という方でも大丈夫です。経理の英語学習には、一般的な英語学習とは異なる「効率的なアプローチ」があります。以下のステップに沿って進めることで、最短距離でビジネスで使える英語力を身につけることができます。

ステップ1:英語への「抵抗感」をゼロにする(1〜2週間)

最初から難しいことをする必要はありません。まずは英語に触れる時間を毎日少しずつ作ることが目的です。具体的には以下のような取り組みが有効です。

  • 通勤中にBBCやVOAのポッドキャストを「聞き流す」だけ(内容が分からなくてもOK)
  • 使っている会計ソフトやExcelを英語表示に切り替えてみる
  • 会社に届く英文メールを、翻訳ツールを使いながらで構わないので自分で読む習慣をつける
  • 1日5単語、会計英語の用語を覚える(Anki等の単語帳アプリを活用)

完璧に理解しようとせず、「英語が目の前にある状態」を当たり前にすることが目標です。

ステップ2:中学英語の文法を「使える形」に整理する(2〜4週間)

ビジネスメールの英語は、複雑な文法は不要です。以下の3つの文型をマスターするだけで、経理メールの大半はカバーできます。

  • SVO(主語+動詞+目的語):“Please send the invoice by Friday.”(金曜日までに請求書を送ってください。)
  • Could you please〜?(丁寧な依頼):“Could you please confirm the total amount?”(合計金額をご確認いただけますか?)
  • I would like to〜(意向の伝達):“I would like to adjust the journal entry for [account].”([勘定科目]の仕訳を修正したいと思います。)

文法書を読み込むよりも、実際のビジネスメールのテンプレートを10〜20パターン暗記する方が実務では圧倒的に効果的です。

ステップ3:会計英単語を「仕事で使いながら」覚える(並行して継続)

前章で紹介した会計用語リストをベースに、実際の仕事の中で英語を使う機会を意識的に作ります。

  • 社内の会議資料や月次レポートに英語の用語を括弧書きで追記する習慣をつける
  • Excelの勘定科目リストの隣列に英語名を追記してみる
  • ChatGPTやDeepLに「この仕訳の英語の仕訳文を作って」と頼み、出力結果を確認・暗記する

「覚えるための勉強」ではなく、「仕事の中で自然に使う」サイクルを作ることが、継続の鍵です。

ステップ4:フィリピン人講師のオンライン英会話で「アウトプット」習慣を作る(週3〜5回)

読む・書くのインプットと並行して、実際に「話す・聞く」練習も不可欠です。特におすすめなのが、フィリピン人講師によるオンライン英会話サービスです。

  • 費用が手頃:1レッスン(25〜50分)あたり150〜500円程度のサービスも多く、継続しやすい
  • 非ネイティブ同士の感覚が養える:実際の業務でも非ネイティブ相手の英語が多いため、実務に近い環境で練習できる
  • 講師が親切でフレンドリー:間違いを指摘されても怖くない雰囲気で、心理的ハードルが低い

会計の専門的な会話は最初から難しくて当然です。まずは「自己紹介」「自分の仕事の説明」「今週やった業務の話」などの日常・ビジネス会話から始め、慣れてきたら「月次決算について説明する練習」などにレベルアップしていきましょう。

ステップ5:TOEICスコアを「外部指標」として活用する

英語力の成長を客観的に確認するために、TOEICの受験を定期的に組み込むことをおすすめします。スコアが上がることで自信がつき、学習のモチベーション維持にも役立ちます。

TOEICスコア経理実務における英語力の目安目標時期
〜400点英文メールをAIで翻訳すれば読める程度現状確認
500〜600点基本的な英文メールの読み書きが可能。日常的な経理英語に対応開始3〜6ヶ月後の目標
650〜730点英文会議に参加・発言できるレベル。求人票で「英語力歓迎」ポジションに応募可能6〜12ヶ月後の目標
730〜800点英文レポートの作成・プレゼンも対応可能。外資系経理ポジションでも評価される1〜2年後の目標
800点以上IFRS対応・IR業務・海外駐在なども視野に入る高度な英語運用能力長期目標

最初から800点を目指す必要はありません。まず「600点の壁を超える」ことを短期目標に設定し、着実にステップアップしていきましょう。

5. 英語力×経理スキルで広がるキャリアパス:3つの方向性

英語力を身につけた経理担当者には、大きく分けて3つのキャリアの方向性が開けます。自分のライフプランや目標に合わせて、どの方向性を目指すかを早めに意識しておくことが重要です。

方向性①:国内の外資系企業・グローバル企業の経理職

国内にいながら英語を使う仕事ができるのが、外資系企業や日系グローバル企業の経理ポジションです。東京・大阪を中心に求人は豊富で、製薬・IT・コンサルティング・製造業など幅広い業界で需要があります。

  • メリット:住み慣れた環境のままキャリアアップできる。年収レンジが上がりやすい。英語を実務で使える環境で急速にスキルアップできる。
  • 求められる英語レベル:TOEIC 650〜730点以上が目安。英文メールのやり取りと会議への参加ができれば評価される。

方向性②:海外子会社管理・国際経理担当(国内本社勤務)

日系企業の本社で、海外子会社の管理・連結決算・国際税務などを担当する役割です。海外に行かずとも、グローバルな経理業務に携われます。製造業や商社、流通・小売業など、幅広い業界で需要があります。

  • メリット:日本の会計基準・税務知識も活かせる。海外出張が発生することがあり、実践的な英語力が磨かれる。連結決算・グループ管理の経験が積める。
  • 求められる英語レベル:TOEIC 600〜700点以上。メール中心でよい場合はやや低めのスコアでも可。

方向性③:海外駐在・現地法人CFO・財務責任者

最もチャレンジングなキャリアパスが、海外の現地法人に赴任し、財務責任者(Controller・CFO)として活躍するルートです。現地スタッフのマネジメントや、現地の税務・法務・規制への対応が求められます。

  • メリット:年収・キャリアとも大幅なレベルアップが見込める。グローバルな経営管理経験が積める。帰国後も高い希少価値を発揮できる。
  • 求められる英語レベル:TOEIC 750点以上+実際のビジネス会話・交渉力。会計士・税理士資格との組み合わせで市場価値がさらに上がる。

英語力×会計資格の組み合わせが最強

公認会計士・税理士・簿記1級などの会計資格を持ちながら英語力も高い人材は、国内外問わず圧倒的に希少です。特に以下の資格との組み合わせは市場価値が高くなります。

  • USCPA(米国公認会計士):英語で会計・監査を学ぶ資格。取得過程で英語と会計の両方が鍛えられる。外資系・Big4監査法人で高く評価される。
  • BATIC(国際会計検定):IFRS・国際会計を英語で学ぶ日本独自の検定。外資系経理への転職で有効なアピール材料になる。
  • 日商簿記1級+TOEIC 700点以上:国内グローバル企業・外資系の一般経理ポジションへの応募で非常に強力な組み合わせ。

6. 経理担当者が英語を使う際の「現場のリアル」と注意点

英語力を上げることのメリットは明らかですが、現場で英語を使う際には、単純な「語学力」だけでは対処できないいくつかのポイントがあります。事前に知っておくことで、スムーズな業務遂行が可能になります。

現地の税務・会計基準は「日本と大きく異なる」ことを前提に

海外子会社の会計処理は、現地の会計基準・税法に基づいています。日本の常識が通用しないケースも多く、たとえば「減価償却の方法」「収益認識の基準」「税率や申告スケジュール」などは国ごとに大きく異なります。英語でやり取りしながら、こうした制度上の違いを正確に把握することが求められます。

時差とコミュニケーションのタイミングを設計する

アジア圏(1〜3時間差)はまだ対応しやすいですが、欧米の子会社との場合、時差が8〜14時間以上になることも。リアルタイムのやり取りが難しいため、テキストベースのコミュニケーションが主体になります。締め切りの設定やエスカレーションのルール化など、非同期コミュニケーションの設計が業務効率に直結します。

翻訳ツール・AIの活用は「実務スキル」として積極的に取り入れる

DeepL、ChatGPT、Geminiなどの翻訳・文章支援ツールは、現代の経理担当者にとって強力な武器です。「AIに頼るのはカッコ悪い」という感覚は不要で、むしろこれらを使いこなすことが実務能力の一部と捉えるべきです。ただし、会計数値や固有名詞などは翻訳ツールのミスが起きやすいため、必ず自分の目で最終確認する習慣をつけましょう。

文化的な背景の違いを意識したコミュニケーション

英語力の問題だけでなく、ビジネス文化の違いも重要な要素です。たとえば、インド系の子会社スタッフは「Yes」と言っても実際には同意していないケースがある、欧米では「Noと明確に言う」のが当たり前など、文化的なコミュニケーションパターンへの理解も、グローバル経理には欠かせない素養です。

7. 中小企業のバックオフィス担当者・マネージャーへのアドバイス:「まず動く」ことの重要性

この記事を読んでいる方の中には、「大企業の話だし、うちとは関係ないかな…」と感じている方もいるかもしれません。しかし、中小企業こそ「英語ができる経理担当者」の価値が特に高い環境です。

大企業であれば専門チームや翻訳スタッフがいますが、中小企業では1人の担当者が海外取引の請求書処理から海外子会社の管理まで幅広く担うことになります。つまり、英語ができる経理担当者が1人いるだけで、会社全体の海外対応力が格段に上がるのです。

中小企業の経理担当者・マネージャーに今すぐできる3つのアクション

  • アクション1:社内の英語対応が必要な業務をリストアップする。現在どんな場面で英語に触れているか(または触れたいか)を整理し、学習の優先順位を決める材料にしましょう。
  • アクション2:会計英語の用語100語を3ヶ月で覚える計画を立てる。この記事で紹介した用語から始め、自社の業種に関連するものを加えてオリジナルの単語リストを作りましょう。
  • アクション3:TOEICの受験日を今すぐ申し込む。締め切りがなければ先延ばしになります。まず受験日を確定させることで、学習の「期限」が生まれ、行動が加速します。

完璧な英語力を持つ必要はありません。「今より少し英語ができる経理担当者」になることが、キャリアと会社の両方に価値をもたらします。

まとめ:経理の英語力は「完璧」より「実用」を目指せ

この記事で解説してきたポイントを整理します。

  • 経理・財務のグローバル業務における英語の必要レベルは、TOEIC 500〜650点程度から十分に実務対応できる場面が多い
  • 英語力より先に会計英語の専門用語(まず50〜100語)を固めることが最優先
  • ビジネスメールの定型文10〜20パターンを覚えれば、日常的な英文コミュニケーションの大半は対応可能
  • 会話は「完璧な英語」ではなく「正確な情報を簡潔に伝えるシンプルな英語」が実務では価値を持つ
  • 翻訳ツール・AIを積極的に活用することは現代の実務スキルの一部と捉えるべき
  • 英語力×経理スキルの組み合わせは、年収・転職・昇進のすべてにポジティブな影響を与える希少スキル

英語に苦手意識を持っていても、経理の専門知識があるあなたには、すでに大きなアドバンテージがあります。専門用語という「共通言語」があることで、一般的な英語学習者よりも実用的な英語を素早く習得できるからです。

大切なのは、「完璧になってから動く」のではなく、「今日から少しずつ動き始める」こと。会計英語の用語を1つ覚えるだけでも、昨日の自分より確実に前進しています。まずは今日できる小さな一歩を踏み出してみてください。グローバルなキャリアへの扉は、あなたが思っているよりもずっと近くにあります。

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