「シクミさん、うちの月次決算が本当に遅くて困っているんです。経理からは『人員が足りない』とか『入力が多い』とか言われるんですが、経営判断に間に合わないし、銀行からの問い合わせにもすぐ答えられない。これでは会社の成長も鈍化してしまいます…何とかできないものでしょうか?」
「なるほど、経営企画部長さん、それは本当にお辛い状況ですよね。多くの企業で耳にする切実な悩みです。
実は、その『遅い月次決算』が単なる経理部門の問題ではなく、経営全体に深刻な影響を及ぼしているケースは少なくありません。そして、その原因の多くは、表面的な問題の奥に潜む『仕組み』にあることが多いのですよ。」
「遅い月次決算」が招く、見えない経営リスク
月次決算が遅れることの何が問題なのでしょうか?多くの方が「経理部門の課題」と捉えがちですよね。しかし、私が大手監査法人で多くの企業を見てきた経験から言えるのは、これはまさに「経営全体のリスク」なのです。
正確な情報がタイムリーに手に入らないということは、経営の意思決定が遅れることを意味します。市場の変化が激しい現代において、一歩出遅れることは致命的になりかねません。
例えば、新たな投資機会を逃したり、不採算事業の撤退判断が遅れたりすることはありませんか?月次決算が遅いと、将来の事業計画や予算策定の精度も低下し、結果として企業の成長機会を奪ってしまうのです。
さらに、銀行や投資家といった外部の関係者からの信頼にも影響します。迅速な情報開示ができない会社は、資金調達の面で不利になる可能性も秘めているのですよ。
改善が進まない…その盲点は「部分最適」にあり
「うちも改善しようとはしているんです。経理に新しいシステムを入れたり、残業を減らすように言ったり…でも、なかなか効果が出なくて。」そうおっしゃる経営者の方は少なくありません。
実は、ここに月次決算の改善が進まない「盲点」があるのです。それは、「部分最適」に陥ってしまっていること。多くの場合、経理部門だけの問題として捉え、そこに人員やツールを投入するだけで終わってしまいますよね。
しかし、月次決算とは、営業、購買、生産、人事など、企業活動全体の「結果」です。例えば、営業からの売上データ入力が遅れたり、購買からの請求書処理が滞ったりすれば、経理部門がどんなに頑張っても決算は遅れてしまいます。
私はMBAでサプライチェーンマネジメントを学んだ際、情報の流れを全体で最適化することの重要性を痛感しました。経理だけを見ていると、他の部門との連携や、データの発生源そのものに問題があることを見落としてしまうのです。
「仕組み」で解決!プロが説く高速月次決算への道
では、どうすればこの「遅い月次決算」という根深い問題を解決できるのでしょうか?肝となるのは、「仕組み」を構築することです。単に「早くやれ」と指示するだけでは、根本的な解決にはなりません。
まず、重要なのは「業務フロー全体の可視化」です。経理部門だけでなく、売上計上から費用計上、入金・支払確認まで、一連の業務プロセスを部門横断で洗い出し、どこにボトルネックがあるのかを特定しましょう。
次に、「データ発生源の見直し」です。手書きの伝票やExcelでの手入力が多いと、どうしてもミスや遅延が発生します。証憑のデジタル化、システム連携による自動入力、RPA(ロボティック・プロセス・オートメーション)の導入などを検討し、データの入力プロセスを標準化・自動化することが非常に有効です。
そして、「役割と責任の明確化」も欠かせません。各部門がいつまでに、どのような形式で、どのような情報を提供するのかを明確なルールとして定め、それを全社で共有し、徹底することです。これは、私が監査法人時代に内部統制の構築支援でも最も重視していた点です。
決算業務を早期に進めるための「先行処理」も効果的です。例えば、月中に確定できる固定資産の計上や未払費用の計上などを前倒しで行うことで、月末の集中を避け、経理部門の負担を分散させることができます。
まとめ
月次決算は、単なる過去の数字の集計ではありません。それは、貴社の経営状態を映し出し、未来の戦略を導くための「羅針盤」です。その羅針盤が遅れていては、船は正しい方向へ進めません。
「遅い月次決算」は、会社の成長を阻害する深刻な経営リスクであり、その解決には経理部門に限定されない、全社的な「仕組み」の変革が不可欠です。
本記事が、貴社の経営を加速させる一助となれば幸いです。


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