経営者さん:「シクミさん、うちも経理DXを進めたんですが、正直なところ、残業が減った実感がないんです。
むしろ新しいシステムに慣れるのに時間がかかって、かえって業務量が増えたような…何が間違っていたんでしょうか?」
シクミ:「経営者さん、それは本当にお辛い状況ですね。DXを導入したのに成果が出ないというのは、多くの企業が抱える深い悩みです。
実は、その原因の多くはシステム導入そのものよりも、その”前”と”後”に見落とされている盲点にあることが多いんですよ。
監査法人時代、多くの企業の経理部門を見てきましたが、まさにその点にDX失敗の落とし穴があるんです。」
DXは魔法ではない!見過ごされがちな「非効率な業務プロセス」
多くの企業様が陥りがちなのが、「とにかくシステムを入れれば何とかなる」という考え方です。
しかし、これは残念ながら大きな間違いなんですね。
考えてみてください、元々非効率な業務プロセスの上に、最新のDXツールを導入してもどうなるでしょうか?
結果として、非効率なプロセスがそのまま自動化されてしまうだけ、という悲劇が起こるんですよ。
これは、監査法人の視点から見ても、内部統制の観点からも非常にリスクの高い状態と言えます。
まずは、現状の業務プロセスを「見える化」し、どこに無駄があるのか、どこがボトルネックになっているのかを徹底的に洗い出すことがDX成功の第一歩なのです。
数字で示す!「ボトルネック特定」と「KPI設定」の重要性
業務プロセスの見える化が進んだら、次はその非効率な部分、つまりボトルネックを特定していきます。
ここで重要なのが、「数字」で現状を把握し、目標を設定することです。
例えば、「請求書の処理に一人あたり平均8時間かかっている」という事実があるなら、それを「4時間」に削減するという具体的なKPI(重要業績評価指標)を設定します。
MBAで学ぶ経営戦略においても、漠然とした目標ではなく、具体的な数値目標がなければ組織は正しく動かないとされていますよね。
「残業時間削減」だけを追うのではなく、「月次決算の早期化日数」「仕訳エラー率」「支払遅延発生件数」といった具体的なKPIを設定し、それらを継続的に計測することで、改善の進捗を明確に把握できるようになります。
これにより、経理部門全体の生産性が向上し、結果として残業時間の削減にも繋がっていくのです。
DXを成功に導く「チェンジマネジメント」と「継続的改善」
新しいシステムやプロセスを導入しても、それを実際に使う社員が抵抗感を感じていては、絵に描いた餅になってしまいます。
人間は変化を嫌う生き物ですから、特に経理部門のような定型業務が多い部署では、慣れたやり方を変えることに強い抵抗があるのは当然です。
だからこそ、「なぜこのDXが必要なのか」「DXによって何が変わるのか」「社員一人ひとりにどんなメリットがあるのか」を丁寧に、そして繰り返し説明する「チェンジマネジメント」が不可欠なのです。
また、DXは一度導入すれば終わりではありません。常に業務の状況をモニターし、導入後のKPIの進捗を見ながら、さらなる改善点を見つけていく「継続的改善」のサイクルを回すことが重要になります。
これは、監査のPDCAサイクルにも通じる考え方ですね。
定期的な見直しと改善を習慣化することで、貴社の経理部門は常に最適な状態を維持し、真の意味でのDXを実現できるでしょう。
まとめ
経理DXの成功は、単に最新システムを導入することではありません。
その前提となる非効率な業務プロセスを徹底的に見直し、具体的な数字に基づいたKPIで改善状況を可視化し、そして何よりも社員の理解と協力を得ながら継続的に改善していくことが不可欠です。
この盲点に気づき、的確な手を打つことができれば、貴社の経理部門は残業漬けの状況から脱却し、経営戦略を支える「攻めの部門」へと生まれ変わるはずです。
ぜひ、これらの視点を取り入れて、貴社の経理DXを真の成功へと導いてください。


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